「安産は“運”じゃない妊娠中の“整え方”で変えられます。」
出産を控える妊婦さんから、「私、安産になれるのかな…?」
「赤ちゃんがスムーズに出てきてくれるのか不安です」
そんな声を何度も聞いてきました。
助産師として何千人ものお産を見てきて、
ひとつ確信していることがあります。
安産は、体質や運に左右されるものではありません。
妊娠中に“どう身体を整えるか”で、大きく変わるのです。
そして、その整え方の中心にあるのが 「安産体操」 です。
安産体操は、昔ながらの習慣ではなく、
・骨盤
・赤ちゃんの位置
・筋肉と呼吸
これらが出産にどう影響するかを踏まえ、
妊娠中の身体を“お産が進みやすい状態”に整えるための方法です。
今日は、助産師としての知識と経験から「科学的根拠にもとづいた安産体操」を、どこよりもわかりやすく書きました。
ぜひ保存して、今日から取り入れてみてください。
■ なぜ「安産体操」が必要なのか
お産は“急に始まる大イベント”のように見えますが、
実はその何週間も前から身体の準備が始まっています。
特に重要なのは次の3つです。
① 骨盤の動きがよい
骨盤は「赤ちゃんが通るトンネル」。
長時間座っている、運動不足、姿勢のクセがあると、
このトンネルが硬く狭くなりやすく、赤ちゃんの下降がスムーズにいきません。逆に、骨盤周囲の筋肉が柔らかく、可動域が広いと
赤ちゃんが前に向きやすく、下降もスムーズになります。
② 赤ちゃんが“理想の向き”になっている
赤ちゃんが産道を進むとき、
「頭の向き・背中の向き」がとても重要です。
向きが合わないと、
分娩が長引いたり、痛みが強く感じられたりします。
妊娠中の姿勢や体操で、赤ちゃんが理想的な位置に回りやすくなります。
③ 呼吸と筋肉がリラックスできる
骨盤底筋(いきむときに使う筋肉)は、
妊娠中に固まりやすい場所。
ここが緊張したままだと、
陣痛が来ても「出口が固い」状態になり、赤ちゃんが降りづらい。
深い呼吸や軽い運動で筋肉がゆるむと
陣痛が入りやすく、進みやすくなります。
■ 安産体操の3本柱
次の3つを軸に安産体操を組み立てています。
① 骨盤を整える体操(可動域を広げる)
・妊婦さん向けスクワット
・股関節ストレッチ(バタフライ)
・骨盤の左右ゆらし
骨盤がゆるみやすく、血流も改善され、
赤ちゃんが通りやすい“柔らかい産道”づくりにつながります。
② 赤ちゃんの位置を整える体操(回旋を助ける)
・四つんばいで骨盤をゆらす
・胸を下げるポーズ(胸つけポジション)
・骨盤前傾を意識した姿勢
これらは赤ちゃんが自然と“前を向きやすい”状態を作り、
分娩がスムーズになりやすい方法です。
③ 陣痛を進める筋肉の体操(ゆるめる練習)
・骨盤底筋のオン/オフ
・深い呼吸
・力を抜く練習
意外かもしれませんが、
安産でいちばん大切なのは
「力を入れること」より「力を抜くこと」。
ゆるめる練習ができている人ほど、
お産は進みやすい傾向があります。
■ 今からできる安産体操5選
ここからは妊娠中の多くの方に取り入れやすく、
助産師として安心しておすすめできる体操だけをまとめました。
※ 張り・痛み・早産兆候がある場合は医師に相談してください。
● 1. 妊婦スクワット
回数:10回×2セットを目安
ポイント:
・壁に手をついてゆっくり
・背中を丸めず、骨盤を立てて
・お腹が張ったら中止

スクワットは骨盤の可動域を広げ、
赤ちゃんが下降しやすい環境づくりに非常に効果的です。
● 2. 四つんばいの骨盤ゆらし
時間:1〜2分
ポイント:
・背中を反らさず、骨盤だけ動かす
・左右に小さくゆらすだけでOK
腰痛の緩和にも役立ち、
赤ちゃんが前を向きやすい姿勢になります。

● 3. 胸つけポーズ(前傾ポジション)
時間:30秒
ポイント:
・高めの台に膝を置き、胸を下に
・ゆっくり呼吸
・張りがある日はやらない
赤ちゃんが理想の向きに戻りやすく、
後半の分娩での停滞を防ぎやすくなります。

● 4. 骨盤底筋のオン/オフ
回数:
締める:3秒
ゆるめる:6秒
お産では「ゆるめる力」がとても大切。
骨盤底筋がゆるむと、赤ちゃんがスムーズに下降しやすくなります。

■ やってはいけない体操
次の場合は安産体操は控えてください。
・お腹の張りが強く続く
・出血がある
・早産傾向がある
・医師から運動制限を受けている
・息を止めて力む動き(逆効果)
“無理しない”ことも安産の大切な条件です。
■ 心の安産を作るという視点
安産体操は身体のためだけではありません。
・呼吸が深くなる
・筋肉がゆるむ
・心が落ち着く
これらはすべて、
陣痛のリズムを整えるホルモンを出しやすい状態をつくります。
つまり、
安産体操=心と体の両方を整える準備
なのです。
■ まとめ
安産は、「たまたまそうなるもの」ではありません。
妊娠中の身体の使い方、姿勢、筋肉の柔らかさ、
赤ちゃんの向きを整えていくことで、
お産がスムーズになる確率は大きく変わります。
完璧じゃなくていい。
今日できる小さな一歩からで大丈夫。
あなたの身体は、
赤ちゃんと一緒にお産の準備をしています。
その準備を、少しだけ手助けしてあげるのが
安産体操です。
一緒に、いいお産を迎える体を整えていきましょう。
