【助産師監修】赤ちゃんのミルク量が足りない?缶の目安通り飲めなくても大丈夫な理由と適切な授乳量の見極め方
「うちの子、ミルク缶の目安量を飲んでくれない…」そんな不安を抱えていませんか?
深夜の授乳後、ミルク缶に書かれた目安量を見ながら、「今日も飲めなかった…」とため息をついているママへ。

- 毎回の授乳のたびに、缶に書かれた数字と我が子が飲んだ量を比べて、不安になっていませんか?
「このままで栄養は足りているの?」 「成長に影響が出たらどうしよう…」 「私の授乳の仕方が悪いのかな?」
そんな心配で胸がいっぱいになっているあなたに、今日は育児の専門家として、赤ちゃんのミルク量について本当に大切なことをお伝えします。
結論から言います。ミルク缶の目安量通りに飲めなくても、まったく問題ありません。
なぜミルク缶の目安量通りに飲めなくても大丈夫なのか?
赤ちゃんは一人ひとり全く違う存在です

考えてみてください。生まれた時から、赤ちゃんの体格は驚くほど違います。
- 出生体重2,000gで生まれてくる小さな赤ちゃん
- 4,000gを超える大きな赤ちゃん
この2倍もの体格差がある赤ちゃんたちが、同じ月齢だからといって、同じ量のミルクを必要とするでしょうか?
答えは「No」です。
体格だけではありません。
- 活発によく動く赤ちゃん
- おっとりゆったり過ごす赤ちゃん
- 少量頻回を好む赤ちゃん
- まとめてたくさん飲みたい赤ちゃん
性格も、代謝も、消化能力も、一人ひとり違うのです。
だからこそ、ミルク缶に書かれている数字は、あくまで「平均的な目安」であって、すべての赤ちゃんに当てはまる絶対的な基準ではないのです。
母乳育児の赤ちゃんは量を測れないのに元気に育っている
ここで、もう一つ考えてみてください。
完全母乳で育てているママは、赤ちゃんが1回にどれだけ飲んだか、正確には分かりません。
それでも、母乳で育つ赤ちゃんたちは元気にすくすく成長していますよね。
赤ちゃんに必要なのは、正確なミリリットル数ではなく、その子に合った適切な量なのです。
【専門家推奨】本当に覚えておくべきミルク量の計算式
それでは、ミルク缶の目安量ではなく、何を基準にすればよいのでしょうか。
体重別ミルク量の計算方法
育児の専門家として、私がママたちにお伝えしている計算式はこちらです。
【1日の授乳量の目安】= 体重(kg) × 120〜200ml
この範囲に入っていれば、基本的には問題ありません。
具体例で見てみましょう
体重3kgの赤ちゃんの場合
- 1日の授乳量目安:360〜600ml
体重5kgの赤ちゃんの場合
- 1日の授乳量目安:600〜1,000ml
体重7kgの赤ちゃんの場合
- 1日の授乳量目安:840〜1,400ml
このように、体重によって必要なミルク量は大きく変わります。
同じ生後3ヶ月でも、体重4kgの子と7kgの子では、必要な授乳量が全く違って当然なのです。
なぜ120〜200mlと幅があるのか?
「範囲が広すぎて、結局どれくらい飲ませればいいの?」
そう思われるかもしれません。
でも、この幅こそが大切なのです。
なぜなら、赤ちゃんの個性や活動量、成長スピードによって、必要な量は変わるからです。
- よく動く活発な赤ちゃん → 上限に近い量が必要
- おっとり過ごす赤ちゃん → 下限に近い量で足りることも
- 成長期の赤ちゃん → 一時的に多く飲むことも

この範囲内に入っていれば、あなたの赤ちゃんに合った量だということです。
「1回量」より「1日のトータル量」を見ることが重要な理由
多くのママが陥りがちなのが、「1回の授乳量」にこだわりすぎてしまうこと。
「朝は150ml飲んだのに、昼は80mlしか飲まなかった…」 「さっきは200ml飲んだのに、次は100mlしか飲まない…」
こうした1回ごとの違いに一喜一憂していませんか?
大人の食事で考えてみましょう
あなた自身の食事を思い出してください。
- 朝食:トースト1枚とコーヒーだけ
- 昼食:おにぎり2個としっかりおかず
- 夕食:疲れていて軽めにスープとサラダ
このように、1回の食事量にバラつきがあるのは普通ですよね。
でも、1日トータルで見れば、必要な栄養は取れている。
赤ちゃんも全く同じです。
赤ちゃんにも「飲みムラ」がある
生後間もない赤ちゃんでも、こんな理由で飲む量が変わります。
- 眠かったから少なめ
- お腹が空きすぎて一気飲み
- 前回たくさん飲んだから今回は控えめ
- 暑くて喉が渇いていつもより多め
- なんとなく気分が乗らない
これらはすべて正常な反応です。
授乳は1回量ではなく、1日のトータル量で評価することが、育児の専門家として私が最もお伝えしたいポイントです。
本当に注意すべきサインとは?専門家の視点から
では、本当に心配すべきなのはどんな時でしょうか。
赤ちゃんが元気かどうかのチェックポイント
ミルクの量よりも、以下のサインをチェックしてください。
✓ 元気のサイン(これがあれば大丈夫)
- おしっこの回数と色
- 1日6回以上おしっこが出ている
- おしっこの色が薄い黄色(濃い色は水分不足のサイン)
- 機嫌と表情
- 起きている時は機嫌が良い
- 笑顔や声を出すことがある
- 目がキラキラしている
- 睡眠の質
- まとまって眠れている
- 授乳後は満足そうに寝る
- 体重の増加
- 1日あたり20〜30g増えている(生後3ヶ月まで)
- 成長曲線のカーブに沿っている
- 皮膚の状態
- 肌にハリと潤いがある
- 唇が乾燥していない
✗ 心配なサイン(これがあったら専門家に相談)

- おしっこが1日6回未満
- ぐったりしていて元気がない
- 体重が増えない、または減少している
- 皮膚がカサカサで張りがない
- 唇が乾燥している
- 泣き声が弱々しい
- 大泉門(頭のてっぺんの柔らかい部分)が凹んでいる
体重増加の正しい見方
「体重が思ったより増えていない…」と心配になることもあるかもしれません。
でも、成長曲線の中に入っていれば問題ありません。
大切なのは、
- 成長曲線の帯の中にいること
- 自分のカーブに沿って成長していること
下の方のラインに沿っていても、そのカーブを維持していれば、それがその子のペースなのです。
月齢別・授乳のポイントと悩みの解決法
月齢によって、授乳の悩みも変わってきます。それぞれの時期の特徴を知っておきましょう。
生後0〜1ヶ月:新生児期の授乳
この時期の特徴
- 胃が小さく、一度に少量しか飲めない
- 1日8〜12回の頻回授乳が基本
- 1回量:60〜80ml程度
よくある悩み 「すぐにお腹が空いて泣いてしまう」
→ これは正常です。新生児の胃は30〜50mlしか入りません。2〜3時間おきの授乳で大丈夫です。
生後2〜3ヶ月:授乳リズムが整い始める時期
この時期の特徴
- 1回量が増えてくる:100〜160ml程度
- 授乳間隔が3〜4時間に
- 1日6〜8回の授乳
よくある悩み 「急に飲む量が減った」
→ 満腹中枢が発達し、飲みすぎをコントロールできるようになった証拠。これは成長のサインです。
生後4〜6ヶ月:離乳食準備期
この時期の特徴
- 1回量:180〜220ml程度
- 授乳間隔が4〜5時間に
- 1日5〜6回の授乳
よくある悩み 「遊び飲みが増えた」
→ 周りへの興味が出てきた証拠。授乳環境を静かにする、授乳時間を決めるなどの工夫を。
ミルク育児でママが抱えやすい罪悪感への処方箋
「完全ミルクで育てることに、どこか後ろめたさを感じていませんか?」
ミルク育児の素晴らしいメリット
実は、ミルク育児には母乳にはない大きなメリットがたくさんあります。
1. パパも授乳に参加できる 夜間授乳を交代できることで、ママの睡眠時間を確保できます。パパとの絆も深まります。
2. 栄養バランスが保証されている 現代の粉ミルクは、母乳の成分を徹底的に研究して作られています。必要な栄養素がすべて含まれています。
3. 飲んだ量が分かる安心感 特に初めての育児では、「ちゃんと飲めているか」が分かることは大きな安心材料になります。
4. ママの体調に左右されない ママが薬を飲む必要がある時も、安心して育児を続けられます。
5. 預けやすい 保育園や祖父母に預ける時も、授乳の心配がありません。
大切なのは「何で育てるか」ではなく「どう育てるか」
母乳でもミルクでも、赤ちゃんにとって一番大切なのは、
愛情を持って、安心して授乳してもらえること
です。
ママが罪悪感を抱きながら授乳するより、「これがうちのスタイル」と自信を持って授乳する方が、赤ちゃんにとってずっと良い環境なのです。
授乳が楽しくなる!実践的なアドバイス
授乳記録の上手な付け方
「毎回記録を取るのが大変…」
そんな時は、完璧を目指さなくてOKです。
- 1日のトータル量だけメモする
- 気になる時だけ記録する
- アプリを使って簡単に記録
記録はあくまで「傾向を見るため」であって、「監視するため」ではありません。
授乳時間を豊かにする工夫
授乳は単なる栄養補給ではなく、赤ちゃんとの大切なコミュニケーションの時間です。
- 優しく声をかけながら授乳する
- 目を見つめ合う
- 授乳後のげっぷタイムも大切なスキンシップ
こうした時間の積み重ねが、赤ちゃんの心の安定につながります。
パパや家族との連携
ミルク育児の利点を最大限活かすために、
- 夜間授乳の当番制を作る
- 週末はパパに任せてママが休む時間を作る
- 授乳の喜びを家族で共有する
こうした協力体制が、ママの負担を減らし、育児をもっと楽しくします。
よくある質問と専門家の回答
Q1: ミルクを嫌がって飲まない時はどうすればいい?
A: 以下を試してみてください。
- 乳首のサイズや形を変える(赤ちゃんの成長に合わせて)
- ミルクの温度を調整する(人肌より少し温かめを好む子も)
- 抱き方を変えてみる
- 授乳環境を静かにする
それでも飲まない場合は、無理強いせず、時間を置いてから再度試しましょう。
Q2: ミルクを吐き戻してしまうのですが、量が多すぎるのでしょうか?
A: 赤ちゃんの胃は縦長のとっくり型で、吐き戻しやすい構造になっています。
授乳後にしっかりげっぷをさせる、授乳後はすぐに寝かせず10〜15分縦抱きにするなどで改善することが多いです。
毎回大量に吐く、体重が増えない場合は、小児科に相談しましょう。
Q3: 夜中の授乳はいつまで続きますか?
A: 個人差が大きいですが、生後4〜6ヶ月頃から夜間のまとまった睡眠が取れるようになる赤ちゃんが多いです。
ただし、1歳過ぎても夜間授乳が必要な子もいます。焦らず、その子のペースを尊重しましょう。
まとめ:数字に縛られず、目の前の赤ちゃんを見つめて
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
最後に、もう一度お伝えします。
ミルク缶の目安量通りに飲めなくても、まったく問題ありません。
大切なのは、
- 1日のトータル量で見ること(体重×120〜200ml)
- 赤ちゃんの元気のサインをチェックすること
- 数字より、目の前の赤ちゃんの様子を見ること
あなたの目の前にいる赤ちゃんは、ミルク缶に書かれた「平均的な赤ちゃん」ではありません。
世界でたった一人の、かけがえのない、あなたの赤ちゃんです。
その子のペースを信じて、その子に合った授乳をしていくこと。
それが、一番大切な「育児の基本」なのです。
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私たちは、産前産後のママと赤ちゃんをトータルでサポートする専門家チームです。
当施設でできること
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- 個別の授乳量チェック
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最後に
育児に完璧な正解はありません。
でも、一人で抱え込む必要もありません。
あなたが笑顔でいられることが、赤ちゃんにとって何よりの栄養です。
一緒に、あなたらしい育児を見つけていきましょう。
あなたとあなたの赤ちゃんが、毎日を笑顔で過ごせますように。
心から応援しています。
【この記事を書いた人】 助産師歴15年 / 母乳育児・ミルク育児指導 / 産後ケア専門家 年間500組以上のママと赤ちゃんをサポート
【参考文献】
- 日本小児科学会「授乳・離乳の支援ガイド」
- WHO「乳幼児の栄養」
- 厚生労働省「乳幼児栄養調査」
